飲食店の無断キャンセルで逮捕?
居酒屋の団体予約を無断でキャンセルしたとして、警視庁丸の内署が、東京都内の50歳代の男を偽計業務妨害容疑で逮捕しました。無断キャンセルによる飲食店の損害が社会問題化しているが、容疑者が摘発されるのは珍しいケースです。
飲食店の無断キャンセルと偽計業務妨害
捜査関係者によると、男は6月下旬頃、千代田区内の居酒屋に偽名を使って電話をし、1人1万円の食事コース計17人分を予約しながら、当日に来店せず、店の業務を妨害した疑い。「問い合わせの電話はしたが、予約はしていない」と容疑を否認している。
この居酒屋の系列店4店にも、同じ日に8~20人分の団体予約があり、いずれも無断でキャンセルされた。いずれも同じ偽名で予約されており、丸の内署は当初から来店するつもりがなかったとみて、男との関連を調べている。
近年、無断キャンセル被害は深刻化し、経済産業省の有識者勉強会のリポートによると、損害額は年間2000億円に上るとされる。
引用:msnニュース
偽計業務妨害罪とは?
偽計業務妨害罪とは、虚偽の風説を流したり偽計を用いたりして、人の業務を妨害した場合に成立する罪です。
刑法233条
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害したものは、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
偽計とは?
人を欺罔・誘惑し、又は人の錯誤・不知を利用することをいいます。要するに、人をだましたり、誘惑したり、勘違いや無知につけこんだりするということです。
裁判例では、以下のような行為が偽計にあたるとしています。
- 駅弁業者の駅弁が不衛生だという内容のハガキを、鉄道局事務所旅客課長宛てに郵送した行為
- 電話料金の支払いを免れるために、マジックホンという装置を電話回線に取り付けた行為
- 中華料理屋に対し、3か月間に約970回の無言電話をかけて、客からの注文を妨げた行為
- 他人のキャッシュカードの暗証番号を盗撮するために、ATMの1機を、一般の利用客のふりをして1時間30分以上にわたって占拠した行為
お店の予約は「契約」と同じ
飲食店問題に詳しい弁護士によれば、「法律的に言えばお店の予約は『契約』と同じ。契約は口頭でも立派に成立するので、損害賠償を請求することはできます」とのことです。
ただし、お店側は訴訟を起こすことになれば、費用(お金・時間)がかかってしまうことや、イメージ低下懸念などの問題を抱えており、実際には行動に起こしていないだけです。
今回の逮捕では、容疑者が偽名かつ同時刻に複数の予約をしていたことから、店側をだまして迷惑をかけようとしたことが明らかであるため、逮捕に至ったと思われます。
サービス利用者側の私たちも、お店側の苦労を知り、キャンセルをする場合には必ず事前に連絡を入れるなどの配慮が求められそうです。